腎臓の苦しみを知るといい~健康処楓~

「楓に求めるものは、やっぱり衝撃ですかね」
おおよそ、マッサージに求めるものではないんじゃないかなと、お客さんのレビューを見てて思う、その店の一人息子。
「ソイヤ!」
しかし、そのレビューに相応しい掛声はよく聞こえてくるので、う~んと言ったところ。
「主菜!副菜!旬のもの!」
「あっ、配達来たから、ゆすらさんも食べていきなさい」
マッサージ終わりに疲れている岩彰ゆすらも、昼食をごちそうになることになったが。
「秋刀魚ですか?」
「そうなのよ」
配達の車はキッチンカーで来てくれたので、駐車場で焼き魚にしてくれる。
「主菜、副菜、旬のもの!」
「また注文するよ、よろしくね!」
「ここの店は旨くて安いんだよな」
「へぇ」
といっても結構するんだろうなって思っていたのだが。
「一人500円だよ」
「秋刀魚は高値のこの世の中で!」
本日のメニュー
秋刀魚の塩焼き
茄子の煮浸し
サラダ
もつ煮
ご飯
「これで500円だと!」
「ああ、事実だ、そしてこれに慣れると口が肥えて、よその飯とか食えなくなるぞ」
ああ、おそろしき計画、これでは体の隅々から健康になってしまうではありませんか!
「しかも日替わりとかだからな」
「アレルギーないなら、おすすめだよね」
「本当に楓の周囲は色んな人がいるというか」
「元々病院の食堂を経営していたところだからね、栄養バランスもばっちりさ、こうして一般の注文とった方が儲かるそうだよ」
「えっ?これで利益が出るの?」
「病院の食堂事業を柱にしていたときは、アレルギーとか、塩分の縛りがあったけども、一般人だとそういうのがないし」
「ああ、確かに制限食は作るの大変!」
「授業で一回やったもんな」
ゆすらと虎児は授業で、グラム単位で計算させられてそういった食事を作ってみようという、実習をやった。
「作ってみてどうだった?」
「意外といつも食べているのは濃いんだなと」
「ラーメン食べると、塩分量越えるので先生に叱られた」
「毎食は無理だけども、たまにならば私もいいとは思うよ」
幸洋は健康なうちはそういうのを楽しみなさい派。
「でも、不健康になってもやめられないなら、問題だからね」
そこで殺気を出された。
「わかってます、先生」
前に虎児は見たことがある、塩分控えてねって言われているお客さんが、一食で一日の塩分量を越えたオムライスを食べたところに遭遇し。
隣にいた幸洋が修羅と化したのを…
「腎臓の苦しみを知るがいい」
そこから幸洋は語ることなく、心を折るための手技を繰り広げたのだから。

魔法が消えるのが恐ろしくなる。

「そうね、とりあえず朝起きたら、自分の肌に驚くといいわ」
健康処楓の常連は、楓に行くか迷っているお客さんがいると、健康を愛する会の楓お試しクーポンを申請してくれるぐらい、親切である。
このクーポンは金印会員が、会の貢献度によって発券されるものであり、かなりレアなものであった。
渡された女性は、ホテルに一日宿泊+このクーポン使ってマッサージされるなら、悪くないかなと気軽に思っている。
「初めまして」
そう自分の体に何かが起こるその直前までは…
こめかみのツボを押され、むくみを取るために顔の揉み流される。
「アッアッアッ」
そして腸内がよく動くように内臓に効く指圧、ひねりなどを加えられて解放されると、生きてて良かったなどと思うのだが。
バタン
トイレに行くと、今までの倍は軽く出ていたので、私はどこか悪いのだろうか、どこか体が傷ついているから、こんなことになるのだろうか?と不安になり、そのまま早めに寝る。
そして朝起きた時、何気なく自分の顔に指が触れると、なんだこれは、滑りが全然、もちもちっとしているけども、何か寝る前にパックでもしたっけかな?などと思うと、昨日は菊露からマッサージを受けたことを思いだし、この肌艶がその効果なのかと驚くのである。
しばらく続くが、ある日ある時それがフッ!と解けた時。
自分にかかっている魔法が消えたことが恐ろしくなるのであった。
「そこからはもう菊露様って呼ぶようになるから」
今までだって美肌のために、高い化粧品を使っていた。
しかし、それでは得られないほどの充実したもの、美肌が手には入るのは菊露のマッサージだけ…


「師匠のお客さんって、ご新規さんと常連さん半分半分なんですよね」
「そりゃあ、うちと違って治るを求めてないからだよ」
「何を求めているんですか?」
「美しさ、それで得られる満足感ってやつかな、前に言われたことあるけども、自分でもこういう状態になれるのか、希望が出てきましたっていって、諦めていたことに挑戦してみます!って言ってたお客さんいたからな」
人生をより良く変えたい方、健康処楓のエステでお待ちしております。
「ただ予約は本当に取れないからな」
「女性のお客さんだけでこれだから、虎児君が働くようになったら、もっと大変になるんじゃないかな」
健康を愛する会では虎児くんのデビューは速報、号外として扱うつもりなので、その日を楽しみにしております。

お父さんからパパになっているところも闇ポイント



「青葉、お父さんとね、一緒に山に行こうか」
昨日予約分が終わると早じまいした父親幸洋が、朝食の席でそんな話をしてきた。
急いで母の菊露(きくろ)を見る。
「何があったの」
「昨日て、岩彰(いわあき)さんに保冷剤のクーラーを作ってもらった話は聞いた?」
「あ~なんかいってたね」
「それでね」
もしもこれが学生時代にあったらとか、結婚した時辺りにあったらとか、今のかかっている電気代などから試算したら…
「アーーーーーーーー!」
幸洋は叫んだ。
「先生を叫ばせるとは(岩彰)ゆすらの奴、やるな」
と弟子の虎児(こじ)に言わせるほどの叫びをあげたのだ。
「私ね、はじめてわかったの」
よくお客さんにわ先生にもっと早くあっていたら…から始まる言葉をいただいたりしたが、大袈裟だなって思っていたのだが。
もしかしたらこういうことが出来たかもしれないという、ifが次々と浮かんできただろう。
「青葉、パパと一緒に山に行こうか、カブトムシやクワガタだ、こう見えてパパ、虫取り上手いんだぞ!」
「ダメよ、青葉そんな顔しても、付き合ってあげなさいよ、虎児くんも一緒にいけばいいわよ」
正直父親がここまでの闇を抱えていたのを知らなかったので、父親にどう相対すればいいのか。
(山に行こうかって言われてるけど、こんな状態で一緒にいったらなんか怖い)
呼び方がお父さんからパパになっているのも闇ポイントである。
なんということでゴワスか!我々を闇から解き放ってくださった先生もまた、その身を闇に蝕みし者だったとは、本来ならば我らが代わりに祓わなければならない闇を、あの子が打ち破ったでゴワス!
キュンさん、岩彰ちゃんからは会へクーポンの申請がきてるシュが、先生の長年の苦しみから解放したということで、金印クーポンを発行したいと思ってましゅ。
…個人的には思うものがあるキュンが、評価に値することを握りつぶすような狭い人間ではないキュン、承認するキュン。
「あっ、頼んでいたクーポンきたけど、本当にお得ね」
岩彰ゆすらに届いたクーポンブック、表紙には楓や会に貢献したものに配布されるもっとお得な金印がついたクーポンブックだったのだが、一緒に届けられたカバーに差し込んだので、それが特別なものだとは気がつかないままだった。

ストレッチだけでもいいんじゃないかな



健康処楓に一回5000円は高いと思う人も世の中にはいるようだ。
しかし、それも昔の話。
楓のお客さんに渡される「人生を楽しむため」のクーポン、通称旅券、こちら読みはりょっけんでも、チケットでもいい。
最初に渡されるものと、更新して手に入れるクーポンの二つで構成される。
月末までに手続きしてもらうと、次月の割引件が来るのだが、スーパー銭湯に2、3回いけば楓の元が取れてしまう。
ここまでお得なものにしているのは、健康になるために苦しみ、楓の幸洋(こうよう)に一撃を入れられて終わるまでに使った金額が凄まじいからである。
それこそ、外車一台、家一件ぐらいはみな使っている、その時の悔しさったらない。
会員の一人が、「溺れるものに藁を売る仕事をしているやつらがいる」などと例えたために、食い物にしているやつらは会員の中では「藁売り」と呼ばれていた。
ここまでお得だと、クーポン目当ての者も定期的に現れるが。
「…君はストレッチだけでいいんじゃないかな」
それ目当てで楓に行ったとしても、幸洋先生からはそれだけしか言わない、もちろんそのまま帰されるんで、お客様番号はもらえないのである。
「なんか手帳とクーポンをセットするカバーもあるみたいなのよ」
そんな話を幸洋先生の弟子の虎児(こじ)に、彼の同級生の岩彰(いわあき)が教えてくれた。
ゴリゴリゴリ
虎児が岩彰の脛にある老廃物を流した。
「そこめっちゃ痛い」
「右は大丈夫なんだけど、左がここまでごりごりだな」
ゴリゴリゴリ
音が聞こえてくるぐらいである。
「痛い」
岩彰はカバーをどうしようかと思っていたが、ちょうど数量限定のカバーが五種類あった。
「話は変わるけども、なんでかカバーはサメの名前だった、まあ、サメ皮だからしょうがないけども」
・サメ子
・小雨(昼/夜)
・サメる
・サメショウ
というサメの名前とデザインの写真が載っている。
注意書には八千代の庭産小雨の再生皮を利用していますとある。
ふむ、これじゃあわかりにくいでござるが、それぞれ四匹のサメの模様をイメージしているでござるが、わかりやすくすると。
・墨染 (サメ子)
・錦 (小雨昼)
・白黒錦 (小雨夜)
・青手 (サメる)
・五彩手 (サメショウ)
「あれだろ、化粧品とかああいうのでオシャレそうな名前つけるじゃんか、そういうのだろ」
「なるほど」
汚れに強い黒のサメ子かな?って思っていたが

健康処楓の補給セット夏の陣



楓から帰ろうと玄関に出たところ。
「これ良かったら、食べてね」
幸洋先生から保冷バックを渡された。
バックには「夏の陣」とシールで封されていた。
これは健康処楓の補給セットでにゅ。
「中には食べ物と飲み物が入っているから」
そう言い渡された帰宅、中身は一息ついてから開けてみた。
元々は楓のお客さんのお母さんの、息子さんが病気になった時に家に送った食べ物の話からでたって、これはいいねと、幸洋も作ることにしたのだ。
「でも私はこの辺は素人だからね、手軽に出せるように、そのための仕組みにお金をかけさせてもらったよ」
ここが先生の痺れるところでゴワス。
お買い物用保冷バックの中にお弁当用の保冷バック、ここに凍らせた保冷剤を入れる、これが基本仕様で。
夏の陣と銘打ったものの中身は、まずお弁当用保冷バックには…
・冷凍された水分、ミネラル、鉄分補給のペットボトル一本
・自然解凍で食べれる枝豆。
買い物用保冷バックには…
・すぐ飲める麦茶のペットボトル
・つまんで美味しい小豆のパン
・鶏肉と豆のカレー炒め、これはそのままでも、もちろんご飯にもパンにも合うが入っている。
地域のお店に別注した食べ物が、1.5食分!
「でもなんかこれだけ買いに来る人いるだもね」
理由は美味しいからというのもあるんだが、リピーターは日帰り温泉に行くときにちょうどいいという。
この辺の温泉というのは、昼時以外に食堂が営業してない、そのため飲食物持ち込みできる。
温泉にじっくり入っても、湯上がり食べ物はしっかりとキープされているので、休憩室に行き、ここで食べ物をつまみながらゆっくりと過ごすそうだ。
「あっ、これは今日買い物行かなくてもいいな」
健康処楓の補給セットは、まだ本調子ではないお客さんたちにも大変好評となっております。

最近体がだるいんですよね




「なんか疲れているのかな?」
シャキッとしないのである。目なんか、ほら、朝なのに眠そう。
(運動とか最近サボっていたからな)
なんて考えていた。でもまあ、こういうときは楓によって、スッキリさせてもらおうか。
(あの先生のところに行けば間違いないだろう)
そんなわけですいませーんと健康処楓の花信風(くわしんぷう)幸洋先生の元を訪れた。
「なんか、最近体がだるいんですよね」
「ふむ?」
話を聞いた幸洋先生が色々と確かめていると。
「虎児くん」
お弟子さんの虎児くんを呼んだ。
「はい!」
「まずは水を入れたバケツ持ってきて、それ終わったら冷たいタオル作って」
「わかりました」
いきなり忙しくさせてしまったな、予約きちんと入れれば良かったな。
「バケツに水です」
「君はそこに座って」
「はい!」
リクライニングシートに座る。
「バケツに足を入れて」
「え?はいはい」
バケツの中は冷たい水だった。
「気持ちいいかい?」
「はい」
「今ね、体の中にこもった熱を出しているの」
「へぇ~」
「もうちょっとで熱中症起きるよ、これ」
「えっ?マジですか」
「はい、足をあげて」
そのまま濡れた足を拭いてくれた、そして用意された冷たいタオルを指の間に縫うようにはさんでいく。
「どうぞ、麦茶です」
「塩も少しはいっているよ」
ごく
「うまいですね」
「熱がこもっていた状態だから、眠れてないんだよ、ここで君はしばらく寝てからにしなさい」
「タオルケットです」
バサッぅとタオルケットをかけられ、薄暗い室内で、グーグー眠らせてもらった。
そして起きるとこのスッキリ!

その日の夕方たまたまニュースを見ていたら。
「本日は熱中症で搬送された方が」
やっぱり多かったんだの次である。
一人暮らしで熱中症になり、動けなくなってそのままお亡くなりになった人が、自分と同じ年であった。
もしかしたら、自分もこうなっていたのかと思ったら…背筋が凍った。

腕がいいってどれだけいいんですか?

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  『とにかく早い者勝ちっ!』  
  ドメイン取るならお名前.com  
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「爪の話にまたなるけども、結構爪に気にしないところってあるんだよな」
それこそ、幸洋先生が修行時代の話でもある。
「評判のお店っていうのに勉強も兼ねていってみたりはしたんだよ」
この時もう結婚しようと思っていたため、行くか、貯金するか迷っていたのだが、幸洋の妻である菊露(きくろ)が見聞を広めるためにも行ったらいいわと応援してくれたのである。
「たまにそういうお店でも爪が当たる人が担当になったりしてさ、これはここでお客さん来なくなるよななんて考えたよ」
気持ちはいいが、爪が当たるので、眠れなかったりする。
「だからうちで学んでもらう時は爪を気にしてもらう、お客さんからお金をいただいているんだからね」
健康処椿の一回の値段はだいたい5000円である。
ここで引き合いに出すのはなんでゴワスが、よそはもっととるでゴワスし、シュちゃんに言われるぐらい、滅べって言われるような腕のところも多いでゴワス。
「私の調べでは腕のいい人はそう高くないかなって思うよ」
えっ?ちよっと先生、そのデータを見せてプリーズでシュ、次の会の集まりで発表したいでシュよ。
「腕がいいってどれだけいいんですか?」
弟子の虎児が質問する。
「体が資本のアスリートが長いこと競技生活にうちこめていたり、医療の相談を受ける人が相談にこられたかたに紹介したり、金融の人も詳しいよ、ほら、保険の取り扱いや支払いにかかわるからね」
今まで苦しんでいた者を、一度で好転させるほどの、それこそ廻天の域に腕前があるものは、一回で5000~1万円、もちろんほとんどの人が一度行けばそこでおしまいになるという。